April 06, 2005

『「弱さ」のちから −ホスピタブルな光景』

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「教育お茶会」で紹介させていただいた本です。書評はすぐに手にとって読むことができそうな手近なものでやっていきます。


『「弱さ」のちから −ホスピタブルな光景』

著:鷲田清一 , 講談社 2001 , ISBN4062107171 , ¥1,680

「臨床哲学」を展開する著者は人が<弱い>ということ、そして「弱い者たちが弱いままにそれでも身を支えてゆく」ために「おのれの弱さに震えてきたもうひとりのひとが身を張って取り組む場面」として様々な“ケア”の現場に注目しています。それら《ホスピタブルな光景》である十二の実践を「旅」した記録として本書はつくられています。

巻末の論考で著者が紹介する十三番目に、重度障害者として東京都ではじめて教員となった遠藤滋さんの、退職後の寝たきりを支える若者たちとの交流が紹介されています。生きていくためのすべてに支えを必要とする遠藤さんの暮らす場所はしかし若者達には学校以上の「学校」であり、「卒業生」と称してここを巣立って行った人はのべ千人以上になるそうです。彼らを取材したドキュメンタリーもあるそうです。
このメタファーは私たちが本質的に「学校」に求めているものを暗示してはいないでしょうか。
知識を授与し一定の時間を過ごせば修了するという“作業場”ではない、弱い者、強い者が互いに
影響し合いケアされ合うことで知識や“生きる力”が授受される“居場所”としての「学校」。そうしてそこから外へ出ようとする気持ちが促す「卒業」。保護者もまた子どもたちには学校で多くを“受”することをもとめてしまいますが、それだけではない“授”さえ行われうることをおしえてくれているような気がします。
(北村)

投稿者 : April 6, 2005 08:00 PM
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