October 14, 2005

The Third Way (2005.10.5)

10月5日の読書会の要約が出来上がりましたので、アップさせて頂きます。

P78 L.19 The question of civil society〜p85 L.3 community resources.
The question of civil society(市民社会における課題)

アクティブな市民社会の育成は、第3の道の政策において基礎的な部分である。民力の低下は、保守主義者の単なる空想ではなく実際に社会で目に見える形で起こっている。その具体例が、結束力の希薄化、犯罪率の上昇、結婚・家族の崩壊などである。民力の低下は、福祉国家のせいにはできないし、そのままにしておけば社会が元通りに戻るとも考えがたい。それゆえ、政府は市民社会再生のため、重要な役割を果たすことができるし、果たさなければならない。

市民社会の再生において重要な点
・政府と市民社会とのパートナーシップ
・地方主権によるコミュニティーの再生
・(NPOのような)社会セクターの参加
・地方の公的領域の保護
・コミュニティーをベースにした犯罪の抑制
・民主的な家族

政府と市民社会のパートナーシップは互いに促進し合い、監視し合わなければならない。状況に応じて、政府はより民的領域に踏みこまなれければならない時もあるし、逆に撤退する必要がある時もある。政府が撤退するとき、政府のこれまでの活動を引き継ぐ地方グループをサポートするために資金を提供する必要がある。特に貧困地域においては、地方主導の育成が大きな結果になって現れる。

1950年代のPeter Hallの研究によると、社会セクターの活動はここ40年で拡大してきたとしている。伝統的なグループにとってかわって、セルフヘルプや環境に関するグループがそれらを補う形で出てきており、女性参加者も増加している。これらの活動の拡大は、多くの富裕層の人間によるものである。貧困層の人々は、自分たちの身内に社会が限られており、貧困層の人々の方が社会的なサポートを必要としている。

政府が関わるべき主要な課題の1つは、貧困層の中の市民秩序の回復を支援することである。貧困な地域の再生には、経済的な奨励が必要である。最近の研究では、外部の適切なサポートがあれば、衰退のプロセスを辿っている地域であっても再生が可能であると示している。その例の1つがブラジルのセアラ州である。セアラ州では、最もサポートを必要としている家庭には、最低限の賃金がもらえる仕事を与え、そしてデイケアセンターの経営はボランティアグループに最低限の賃金とともに任せた。またコミュニティーに小額の資金の貸付を行ったため、そのお金で女性の自立のためにミシンなどを購入した。その効果があり、1987年から1994年のセアラ州の経済成長率は4%にまでになった。
他の好例として挙げられるのが、「サービスクレジット」。慈善事業に参加したボランティアには他のボランティアからの寄付による賃金が「時間」で支払われ、各人の「時間ドル」の動きは、コンピューターで管理し、定期的に明細を発行する。この「時間ドル」は非課税となっていて、医療費の支払いなどにおいて特典がある。

政府は下からの意思決定や地方自治を奨励するのと同様に、こうした試みに貢献する準備をすべきである。例えば、マイクロクレジット(小額信用貸付)が地方経済のイニシアティブに効果的であるとされている。スラム街への継続した投資は、地方のビジネスの自主性を発展させる。政府は直接投資するだけでなく、民間企業に対して投資したり、訓練プログラムを提供したり、地方のインセンティブを育成することも可能である。

【私見】
NPOなどの第3(社会)セクターはまだまだ、官・民の他の二者に比べて、経済的にも組織的にも小さい存在です。それゆえ、「The Third Way」に書かれているように、地方のインセンティブを育成するためには、政府はそのまま市民グループやNPOなどに事業を丸投げするのではなく、政府もパートナーとして対等な立場のもと援助していかなくてはならないと思います。政府側に「育成する」という視点が重要です。
その一つとして今回出てきたマイクロクレジットの例としてアメリカでの取り組みがあります。アトランタのNPOカーター・センターのプログラム「ジ・アトランタ・プロジェクト」です。カーターセンターの理事は元大統領のジミー・カーターで、このジ・アトランタ・プロジェクトは、企業と地域・NPOのパートナーシップによる地域改革のモデルとされています。1991年カーター氏がサントラスト銀行に財政的支援とともに、従業員の提供、低所得者への融資(マイクロクレジット)を依頼しました。これまで小額信用貸付は銀行間では行わないと決めており、また商売にはならないとサントラスト銀行は考えていましたが、ジ・アトランタ・プロジェクトのもと、銀行口座を初めて持つ人への教育、賛同したほかの金融機関とともにスモールビジネス・ローンファンドの創設と互いにリスク分散を図りながら融資を始めました。すると、リスクがあるどころかむしろ大きな利益が生むことが分かり、結果的に企業にとっても良い結果をもたらし、地方経済の活性化にもつながりました。
このように、政府、企業、NPOの三者がwin-win-winの関係を構築できるようなプログラムが今、最も必要とされていると痛感しました。
(参考文献:岸田眞代・高浦康有著『NPOと企業 協働へのチャレンジ ケーススタディ11選』同文舘出版 2003年)

投稿者 Kubo : October 14, 2005 09:42 PM
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